―まわりに対して醒めちゃった？

狂介 自分に対してもね。でも、自分で言うのも変だけど抱擁力がでてきたみたい。 大きなことって、もっと他にあるんじゃないかな、と思うから。
カッコイイこと言おうと思えば簡単だよね。ハスにかまえてはいるけどさ。 文面でどんなにカッコイイこと書いてもね・・・”タイクツってやつにケリいれて”とかさ！ 取材でこうやって足組んで「そうじゃないんじゃねぇの」って言うのカンタンだけど、疲れちゃうんだよ。 どっちかっていったら、酒屋の小僧とかやってけるタイプだから（笑）
やっぱ、言葉なんて、ね。うん・・・ライブは言葉じゃないと思う。

―言葉は、いくらでも・・・

狂介 つくれるしね！
ライブでやってる時ってのはさ、男女関係なく、ひとりひとりが自分の彼女だと思ってる。 自分の女を抱いてる時と同じぐらいの真剣さで喜ばせようと思ってやってる。 一所懸命、尽くしてるよ俺は。そういう中でわかってくるもんじゃない。

―自分のことを歌ってるって言ってたけど、全部気持ちが矛盾してるでしょ。 ”馴れ合いとやすらぎ、うそっぽいけど本気。淋しいけどアキアキ”。

狂介 俺の中では全然、矛盾じゃない。馴れ合いとやすらぎってのはさ、全然ちがうでしょ、似てるけど。 そういうのがわかるってのは、感覚の問題だよね。
だから、「僕、遊びも知りません、勉強やってる合間にBOφWY聴いてます」 そういう子には絶対わかんないと思うね。いろんな――子供の頃から女の子と遊んだり、 ふったりふられたり、ひどいことやったりやられたりした人にだったら痛いほどわかるだろうけど。

―自分の中で気持ちいいこと、カッコイイと思ってるものってなに？

狂介 ステージやってるよね。で、俺を見てさ、目が星になってる時ってあるじゃん。 少女マンガに出てくる女の子みたいにキラキラって。そういう時って、すげー気持ちいい。 俺は他のことで見ず知らずの女の子の目をうるませることなんて、バチーン、てたたかない限りできないから。
カッコイイってことは、その場その場の行動、発言とかもそうだけど、自分が気持ちいいってことが大前提にある。 それにそういうのって、年や自分の成長度によって変わってくでしょ。 だから、何がって聞かれて言えるもんじゃないけど、自分自身に、自信がもてるようにやってくことがカッコイイ。 言葉にすれば、そういうことなんじゃないかな。

結局、最後までdr.の高橋マコトは姿をあらわさなかった。連絡がとれないならとれないまま、 質問がつまらなければサングラスの下で昼寝をしたり、ライブの出来は良かったね、と言われて「つまんなかった」。 そういうヤツらでは、ある。で、そういうところが好きだと思うなら、それでOK。
BOφWYは、これからも自分自身や客席の何百人の彼女とも、馴れ合うことなくやっていくのだろう、きっと。