−レコーディングに入る前の精神状態は、どんなかんじだった？
氷室 ヴォルテージ上がってたよ。
布袋 『JUST A HERO TOUR』が終わって、夏のイベントでお礼まわり的に色々出演して、 とりあえず一段落ついて気分的にも盛り上がってたね。
氷室 今までコンセプトといっても、それほどコンセプトしてなかったんだけど、 『JUST A HERO TOUR』やその前のツアーで、BOφWYとファンの つながりみたいなものをすごく確認できたと思うのね、そういう意味で、 すごく色々なコトを素直に表現したいねっていう話から始まって・・・。
高橋 随分前から、メチャクチャロックン・ロールしちゃおうぜって、 裏切りってかんじでって話はしてたよね。
松井 シングルの頃から次のアルバムの構想はできてたよね。ありのままの俺達をってかんじでね、 だから作り方も3枚目に近いものがあった。
−本当に、ありのままのBOφWYが生々しく出てるね。
布袋 『JUST A HERO TOUR』の時は結構、脳ミソかきまぜるようなものを作ろうよって 言ってたけど、今回はそうじゃなくて、もっと作った時のインパクトや、 メロディアスなものをガンガンやっちゃおうってサ。逆に言えば、 何も考えずに曲作りに専念したっていうかさ、アイディアよりも、メロディや曲自体をすごく 大切にした。
−今回、４人とも詞を書いてるけど、まず、B-1の布袋クンの書いた曲のタイトルは、 なんて読むの（笑）？
布袋 「スーパー・カリフラジリスティック・エクスピアリ・ドーシャス」。これはね、おまじないなんだ。 メリー・ポピンズが使うおまじないで、映画の中でも同タイトルの曲が流れるよ。 この言葉を唱えると何でもかなっちゃうんだ。BOφWYの曲の中では、 ”夢であなた様にお会いできますように”っていうおまじないになってるけどね。
−曲調もものすごく大胆！
布袋 大仰だよね、モーツァルト使っちゃったりして（笑）。
−どうも、布袋クンと「アマデウス」の中のモーツァルトが、オーバーラップしちゃうな（笑）。
布袋 音楽家ではモーツァルト。画家だとモネ。そこいら辺の人達って、時代の異端児だよね。 セックス・ピストルズ通じるもの感じちゃうもん。
−それから、マコっちゃんもとうとう詞を書いた！
高橋 書きましたねェ（笑）。
−どんな風に作ったの？
高橋 曲が先にできて、布袋もアレンジ面でこんな風にしたいっていうのがあったから、 ある程度の枠に詞をはめ込んでくってかんじで・・・自分の中でフィクションを作ってみてね、 自分の感情はやや押さえて作ってみた。
−メンバーは驚いた？
氷室 やっぱり、それなりのものをクリエイトすることのできる人間だろうっていう予測はついてたからね。 でも詞に対してのリアクションは様々で面白かったよね。
松井 でも、詞ってその時に想ってることがないと、どんなに頑張っても書けないもんだよ。 それと曲のイメージが、ピタッと合ってこそ満足できる詞が書けるんだからサ。 今回の詞は、本当にあんな気持ちになったことがあって、書いたし。
−そうやって4人がそれぞれの個性を外に向かって出したっていうのも今回の特徴だね。
布袋 ツアーまわってきてみんなが俺達のことをわかってくれたっていうのを、 俺達も確認できたってところで、とりあえず手のひらを見せたってかんじだよね。 多少皮肉ってのも含まれてるけどサ。
氷室 今までコンサートなんかでも、すごくおしゃれしたところをずっと見せてきて、 そろそろ肌を見せてもいいファンとの信頼関係なんかを考えて、裸でいきたいってね。
−『JUST A HERO TOUR』でオシャレして見せて、『BEAT EMOTION』で 裸になった。
氷室 恋愛だってそうじゃん。会って突然、自分の乳首出しちゃう奴いないでしょ（笑）。 ファンと俺達の関係ってヤツも恋愛関係と同じだと思うよ。みんな俺達に恋してるし・・・。
−BOφWYもみんなに恋してる？
氷室 そう思うよ。みんな素晴らしいし、みんなのこと、やっぱ好きだし。
最初、バンドを組み始めた頃はファンなんかみんなバカだと思ってた。例えば、 ステージから俺が何かを言うでしょ。それに対してのリアクションなんて”面白い”
ぐらいにしか思ってなかった。でも、恋愛がドンドン段階を経て、相手のこと本当に 愛してあげられるようになるように、BOφWYとみんなの関係も段々変わってきてる。
布袋 新宿都有3号地があったでしょ。だから、あれは俺達よりみんなの方がキレイだったよ。
氷室 ネッ！
−ステージをやってる最中、一瞬でもみんなのことを愛しく感じることってあるのかな？
氷室 そりゃもう愛しいサ！
布袋 あるひとりのファンがものすごくBOφWYが好きで、友達に言うとするでしょ ”BOφWYっていいヨ！”って。その友達が俺達を観に来て”ホントだ！カッコイイ” ってことになった時、その子は鼻高々だと思うんだ。まるで自分のことのようにね。
氷室 俺達って長くその土台の上に成り立ってきてるバンドだもん。
−でも、話題になってるから観てやろうって人もこれからは増えるかもよ。
布袋 それはあまり大きな問題じゃない。ファンをふるいにかける気はないけど、観に来て、 本当にイイって好きになってくれれば、それが一番大切なことだよ。 そう思わせる自信だってあるしサ。
−その自信、今が一番大切な気がするんだ。
布袋 そういう意味でも『BEAT EMOTION』は、BOφWYを強く叩き出してるよ。 すごくストレートに、すごくショッキングにね。
氷室 そう・・・俺等、いろんなラブ・ソングを送り続けてきたわけじゃん。今回は、 その中でも極上のラブ・ソングだよ。