−レコーディング、御苦労様。どうだった？大変だった？
布袋 結構スムーズにできたよ。最初から段取り考えてたから、割と産みの苦しみみたいのはなくて、 それより、レコーディングの楽しさみたいの味わえた。
松井 みんなホテイ君に段取りとかまかしたから・・・。
氷室 今回サ、全面的に俺が詞で。１曲はマツイが書いてるけど、あとは全部書いてて、俺、 詞にかかりっきりだったのね。いつもは、色んな事に口出したりするんだけど・・・ そういう分担は、ハッキリ決まってたね。
布袋 そういう雰囲気作りみたいなもんに・・・例えば、ヒムロが詞を書きやすいっていうような・・・。
氷室 ホテイが、そういう雰囲気作りにすごく協力してくれたんですよ。具体的には、 体を与えてくれたりとかサ（笑）・・・そういう事じゃないけど。
布袋 で、俺は俺でみんな俺に気を使ってくれて・・・。
氷室 そう、使ってあげた（笑）。
−今回のアルバム・タイトルは、『JUST A HERO』だけど、 あの曲自体は、このアルバムの中で、どんな存在なの？
氷室 あの曲だけ、すごくメッセージを意識して、今の若い子達に言いたいことを、 書いた曲なのね。アルバム・タイトルはアレしかないと思ってた。
誰でもヒーローになれる時代だけど、たかがヒーローじゃないかってかんじの、 でも、落ち込んでてもヒーローになる可能性はあるんだゼって。
マツイ君に言わせると、”勇気”なんですよね（笑）。作者に言わせると、 ちょっと違うんですけど（笑）。
松井 『JUST A HERO』のテーマは”勇気”です！ちゃんと書いといて下さいネ、 テーマは”勇気”ですから（笑）。
氷室 タクシーの中で、”アレはイイ曲だね、アレのテーマは勇気でしょ？”って言うんだよ。
高橋 スーッときて、ダンってブレイクしたところから、世界が急にコレモンになって （とコブシを振り上げる）、ガンとくるんだよね。
氷室 この間、マツイがこの曲ヘッドホンで聴きながら、ひとりでコブシ振り上げたんだって（笑） ・・・良い事だね。
−でも、ヒムロ君の歌い方、前より優しくなってるみたいよ、親切に・・・。
氷室 今まで俺がシャウトすると、みんなが喜ぶって、自分でもわかってて思う壺にはまってやった的 ところがあったのね。でも、ずっと毎回アルバムでそれやるのって誤解されちゃうから、 今回は、一作詞家として、一ボーカリストとして、自分を表現したかったんだ。
−で、アルバムの中は、全曲新曲でしょ？
氷室 そう、曲は俺とホテイで30曲ぐらいあがって、そン中から選んだ曲に詞をつけるのに、 いつもは２週間ぐらいで、あまり考えずにスタジオでパッと浮かんできたりしてたんだけど、
今回は、田舎に帰って、こもりきりでやった。
ただのラブ・ソングになっちゃうのも癪に触っちゃうし、深く読めない人にもラブ・ソングにきこえて、 しかし、本当にわかっちゃう人には、すごくわかっちゃうっていう詞を書きたかったんだ。
で、思い通りにやれて、あがったものをみんなも気に入ってくれたからね。
−本当、今回の詞は、前回よりもヒムロ君の性格的な、わがままできれいなもの好きな部分ってのが、 色濃く出てるんだけど・・・その中に、1曲だけマツイ君の詞が入ってて、それがすごく素敵なの。 ここで”素敵なの！”って感動しちゃうと、まんまと乗せられちゃったみたいだけど・・・。
氷室 「Like A Child」の詞ができ上がって見た時、アルバムのバランス考えて、 絶対入れたいと思って、何よりサ、そういうの書ける人って思ってなかったっていうのが、 正直なところで（笑）。
松井 みんなで侮ってる（笑）。根詰めたよ・・・ポッと浮かんでスラスラ書いたわけじゃない。 でも、最終的に直していくと、俺がやると、ああなっちゃうんだよね。これから先もやりたいな。 最近、ヒムロと詞の話とかしてても、結構盛り上がるんだ。
氷室 最近、俺は、ベースを弾く人っていう見方から、作詞をする人っていう見方に変わってきて、 話も面白いよ。
−詞の部分も音作りも、インテリっぽいな、なんて思ったんだけど、そうじゃない？
氷室 俺はどっちかっていうと、今までよりも、ワイルドだと思うよ、表面的なワイルドじゃなくて、 実は懐に何かを隠し持ってる的なさ。振りまわしてばかりが、暴力じゃないわけだから。
−気持ち的にインテリ・・・学歴があるとか、本を沢山知ってるよりも、心が、鋭い？
氷室 それって、結構小さい頃から憧れて、自分が持っていきたいところ。でも、詞については、 何回か聴けば絶対わかる。フッとした瞬間、”あっ”ってわかって、やっぱりヒムロは 天才だってことになる（笑）。
−さて、アレンジでは、ホテイ君、大活躍だったね。
布袋 大活躍でした。
− 一歩一歩、変わり続けてるモノが、ちゃんと形になって、音に表れてるって気がした。
布袋 やっぱり、言葉で表現するよりも、レコードで表現する方が、楽だし、ずっと確実だね。 惜しみなく考えを、絞り出せたしね。
−前に、どうしてもこうしたいっていうイメージがあるから、サウンド・プロデュースを やりたかったって言ってたけど、それは具体的には、どんなモノだったんだろう？
布袋 具体的に言うと、結局、あのアルバムみたいのを、やりたかった（笑）。 ただ、バンドを続けている軌跡でレコードをポンポン出すんじゃなくて、一枚一枚、 その時点の俺達を、表現していく質感を出したかったし、パワフルで、繊細な、 なかなか表現しにくいモノを、BOφWYは、やってしまったんですネ。